公式タイムテーブル等から、アドルフ・サックス国際コンクールのデータを集計、分析しています。結果なども、併せて掲載しています。前回2002年の、原博巳氏のWebページ内の集計アイデアを参考にしています。
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アドルフサックス国際コンクール2006公式ページ
http://www.adolphesax.com/Dinant2006/
名誉審査委員長
DANEELS, Francois フランソワ・ダニール(ベルギー)
審査委員長
CREPIN, Alain アラン・クレパン(ベルギー)
審査員
VANATTENHOVEN, Freddy フレディ・ヴァナッテンホーフェン(ベルギー)
BREIAN, Vibeke ヴィブケ・ブライアン(ノルウェー)
DAVID, Vincent ヴァンサン・ダヴィッド(フランス)
GAUTHIER, Daniel ダニエル・ゴーティエ(カナダ)
HEMKE, Frederick フレデリック・ヘムケ(アメリカ)
NODA, Ryo 野田燎(日本)
PRESICEK, Dejan デジャン・プレシセク(スロヴェニア)
RAMIREZ, Juan Antonio ジュアン=アントニオ・ラミレス(スペイン)
SALIME Francesco フランシスコ・サリメ(イタリア)
VILLAFRUELA, Muguel ムグエル・ヴィラフルエラ(キューバ)
BARTHOLOMEE, Pierre ピエール・バルトロミー(ベルギー)
BOUTRY, Roger ロジェ・ブートリー(フランス)
(敬称略)
審査員の顔ぶれ。ものすごい名前がたくさん並んでいます。ダニール氏は、ミュールにも師事したベルギーサックス界の重鎮。クレパン氏は作曲家としても有名です。
ヴァンサン・ダヴィッド氏、ダニエル・ゴーティエ氏、フレデリック・ヘムケ氏、野田燎氏、ロジェー・ブートリー氏あたりの名前は、日本でもおなじみではないでしょうか。ブートリー氏が審査員…あ、だから本選の選択曲にブートリー「ディヴェルティメント」が含まれていたのですね(?)。
10/31 - 11/5
参加者:177人
二次予選への進出者:18人
(課題曲1曲+選択曲1曲)
課題曲:
ダニエル・カペレッティ「Ge(r)ms」
選択曲:
マルセル・ドゥ・ヨンゲ「協奏曲」
ピエール・リエマン「A la bonne heure」
アンリ・プッスール「Duel de Capricare」
フレデリック・ファン・ロッサム「Pathetic Story」
ウィリー・ボウェラーツ「Trilogie」
ジャン・アブシル「ソナタ」
ルネ・ベルニエ「Hommage a Sax」
ミシェル・リサイト「Chronographie IX」
日本人の参加者が多いこともあり、ジャン・アブシル「ソナタ」の選択割合が突出しています。プッスール、ロッサムの作品は、前々回、前回の本選課題曲です。特にロッサムは、相当難しいとのこと。
一次予選では制限時間が15分。課題曲を演奏し、あまった時間で選択曲を演奏します。課題曲「Ge(r)ms」は、ガロワ=モンブランのエチュードを現代風に置き換えた、というイメージでしょうか。種々のテクニックが相当高いレベルで求められています。
様子を見る限り、15分ぴったりに収めるために、選択曲は途中で止められるのが普通のようです(途中で止められても失格にはならない)。
音楽に国境はない…と言えど。
まず、日本からの参加者が多いことに気付かされます。次いでサクソフォン大国のフランス、地元ベルギー、スペイン、アメリカ。
スペイン、というと以外に思われるかもしれませんが、前回三位入賞のフェリペ氏始め、近年は優秀なサクソフォン奏者を多数輩出しています。
ドイツやイギリスからの参加が少ないのが不思議。課題曲が、本国での教育用レパートリーとかけ離れているためでしょうか。その点、日本のサクソフォン教育はフランスの流れを大いに受けている、とも言えるでしょう。
11/7 - 11/8
二次予選進出者:18人
本選への進出者:5人
(課題曲1曲+選択曲1曲+自由曲1曲)
課題曲:
ジャン=ルク・ファルシャンプ「Decalcomanie de Reich et Ligeti」
選択曲:
ジャック・イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
吉松隆「ファジイバード・ソナタ」
エディソン・デニゾフ「ソナタ」
フローラン・シュミット「伝説」
マリリン・シュルード「Renewing the Myth」
ポール・クレストン「ソナタ作品19」
アルフレッド・デザンクロ「前奏曲、カデンツァと終曲」
ポール・ヒンデミット「ソナタ」
自由曲:
無伴奏作品
PALOP TECLES, Juani(スペイン)
PETRAUSKIS, Oskars(ラトニア)
RAUTIOLA, Joonatan(フィンランド)
ROGINA, Miha(スロヴェニア)
白井奈緒美(日本)
TURRY, Adrian(オーストラリア)
WEGEHAUPT, David(アメリカ)
BARTHELEMY, Thomas(フランス)
BONNET, Pascal(フランス)
CHATELLIER, Julien(フランス)
DIRICQ, Simon(ベルギー)
FELIPE-BELIJAR, Antonio(スペイン)
HARRINGTON, Allen(カナダ)
JUAREZ SAXCHEZ, Alejandro(スペイン)
貝沼拓実(日本)
KOLESOV, Sergey(ロシア)
LAJOUMARD, Adrien(フランス)
MONFORT, Florent(フランス)
二次予選の選択曲は、有名曲が勢揃いします。現代サクソフォンへの扉となったデニゾフ、協奏曲として最もスタンダードな存在であるイベール、初期のシュミット、そしてネオ・クラシカルの吉松…。
聴衆や審査員へのアピール度が高く、どの作品も世界各地で典型的なレパートリーとして愛奏されて?いるのがわかると思います。
無伴奏曲であれば基本的に何を選んでも良いため、かなりマイナーな作品もいくつかありますが、ベリオ、棚田、ローバ、シュトックハウゼンあたりは、世界各地でスタンダードとして演奏されているのが分かります。
セクエンツァ9bは、1980年代にジョン・ハールとベリオのコラボレーションによってクラリネットの作品から改作されました。既にこのジャンル中では「古典」と呼んでも良いのではないでしょうか。
ローバの作品は、いずれも「9つの練習曲」からの抜粋。エスケッシュは、サクソフォンのための作品を数多く手がけていることでも有名です。
11/10 - 11/11
本選進出者:6人
(課題曲1曲+選択曲1曲 - Augustin DUMAY指揮ベルギー王立ワロニー管弦楽団との共演)
課題曲:
ピエット・スウェルツ「KOTEKAM」(コンクール用に委嘱された新作)
選択曲:
ラーシュ=エリック・ラーション「協奏曲」
フランク・マルタン「バラード」
フレデリック・デヴレーズ「オスティナート」
ロジェ・ブートリー「ディヴェルティメント」
テリー・エスケッシュ「暗闇の歌」
BONNET, Pascal(フランス) - エスケッシュ「暗闇の歌」
CHATELLIER, Julien(フランス) - エスケッシュ「暗闇の歌」
FELIPE-BELIJAR, Antonio(スペイン) - ラーション「協奏曲」
HARRINGTON, Allen(カナダ) - ラーション「協奏曲」
貝沼拓実(日本) - ラーション「協奏曲」
KOLESOV, Sergey(ロシア) - ラーション「協奏曲」
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なかなか国際色豊かな本選となりました。日本人では、貝沼拓実氏が本選に残りました。
選択曲に関していえば:前回が「マルタン対決」だった(原氏がラーション、他全員マルタン)のは有名な話ですが、今回はさながら「ラーション対決」でしょうか。また、エスケッシュの作品は、フランスではかなりポピュラーなレパートリーに入るとのこと。
個人的には、ブートリー「ディヴェルティメント」のエントリーがないのが残念ですが…。
第1位:セルゲイ・コレソフ KOLESOV, Sergey - Russia
第2位:アントニオ・フェリペ=ベリジャル FELIPE-BELIJAR, Antonio - Spain
第3位:貝沼拓実 KAINUMA, Takumi - Japan
第4位:アレン・ハリントン HARRINGTON, Allen - Canada
第5位:ジュリアン・シャテリエ CHATELLIER, Julien - France
第6位:パスカル・ボネ BONNET, Pascal - France
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表彰式は、現地時間23:40(日本時間で7:40)頃より始まりました。リアルタイム中継を観ていたのですが、夜遅くにもかかわらずたくさんの人、人、人。入賞者が発表されるたびに大きな歓声が上がっていたのが印象的でした。
六人が並べられた椅子に座って待機し、第六位から順番に名前を呼ばれていきます。
第一位はロシア人のセルゲイ・コレソフ。ロシアのグネーシン音楽大学でシャポシュニコワに学んだ若きプレイヤー…なのですが、それ以上の詳しい情報が全く分かりません。どなたかかご存知の方は教えてください。
第二位のフェリペ氏は、前回(2002年)、前々回(1998年)も入賞履歴がありますね。毎回参加者の多いコンクールで三年連続での入賞は驚異的といっても良いでしょう。
日本人唯一の本選進出者となった貝沼氏は、第三位でした。おめでとうございます!