5回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)2010非公式集計ページ

 

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開催期間・会場

2010111 – 20101113

ベルギー・ディナン市

 

審査員

審査委員長:

Alain CREPIN アラン・クレパン(ベルギー)

副審査委員長:

Freddy VANATTENHOVEN フレディ・ヴァナッテンホーフェン(ベルギー)

審査員:

Dilson FLORENCIO ディルソン・フロレンツィオ(ブラジル)

Hiroshi HARA 原博巳(日本)

Kyle HORCH カイル・ホーチ(イギリス)

Mario MARZI マリオ・マルツィ(イタリア)

Gerard McCHRYSTAL ジェラルド・マクリスタル(イギリス)

Jean Denis MICHAT ジャン=ドニ・ミシャ(フランス)

Julia NOLAN ジュリア・ノラン(カナダ)

DRAGAN Sremec スレメク・ドラガン(クロアチア)

Joseph WYTKO ジョセフ・ウィトコ(アメリカ)

Max VANDERMAESBRUGGE マックス・ヴァンデルメスブリュッゲ(ベルギー) 二次審査

Jan VAN DER ROOST ヤン・ファン=デル=ロースト(ベルギー) 二次審査

 

前回大会まで名誉審査委員長を務めたフランソワ・ダニール氏は、20104月に惜しまれつつも鬼籍に入りました。本大会では、ダニール氏に代わってアラン・クレパン氏が審査員の代表を務めています(今回、名誉審査委員長はいません)。

審査員の顔ぶれは、相変わらずのビッグ・ネームばかり。ざっと眺めていきましょう。

日本からは原博巳氏が参加。同コンクールの第2回では第3位を獲得、また第3回では優勝しています。洗足学園音楽大学、尚美ミュージックカレッジ講師。

カイル・ホーチ氏はアメリカ生まれ、現在はイギリスで活躍する奏者ですが、雲井雅人氏と時を同じくしてノースウェスタン大学で学んでおり、雲井氏の後輩だったそうです。

マリオ・マルツィ氏は、イタリアを代表する奏者の一人。ジャズ、タンゴ、即興など、クラシック以外の分野にも秀でています。イタリアサクソフォン四重奏団のメンバー。

マクリスタル氏はアイルランドを代表するプレイヤーの一人。素晴らしい出来を誇る協奏曲のCDmeeting point」がすぐさま思い出されます。ノースウェスタン大学で学んだ経験があるそうです。現在はロンドンのトリニティ・カレッジで教鞭をとります。

フランス、リヨン音楽院教授のジャン=ドニ・ミシャ氏も、国際的なソリスト。作曲・アナリーゼの分野にも秀で、トランスクリプション作品の演奏に定評があります。

ジョゼフ・ウィトコは、アメリカの奏者。ノースウェスタン大学で学び、現在はアリゾナ州立大学他で後進を育成しています。

二次審査のみの審査員が二人いますが、日本では吹奏楽の作曲家として有名なヴァン=デル=ロースト氏が、参加しています。

 

 

一次予選

日程:11/1 – 11/7

参加者:151

二次予選への進出者:18

課題曲:必須曲2曲+選択曲1

必須曲:

Ida Gotkovsky イダ・ゴトコフスキー – Variation Pathetique Mov.6

Johann Sebastian Bach ヨハン=ゼバスチャン・バッハ – Violin Sonata No.2 Allegro

選択曲(1曲選択)

Pierre Liemans ピエール・リーマンス - A la Bonne heure

Nina Senk ニーナ・センク - Impetus

Jean Absil ジャン・アブシル - Sonata

Jeno Takacs ジェノ・タカクス - Two Fantastics

Claude Pascal クロード・パスカル - Sonatina

Michel Lysight ミシェル・リサイト - Chronographie IX

Robert Muczynski ロバート・ムツィンスキー - Sonata

Piet Swerts ピット・スウェルツ - Klonos

Frederic Devreese フレデリック・デヴレーズ - 3 Pieces

William P. Latham ウィリアム・レイサム - Sisyphus 1971

 

選択曲の割合:

P.Swerts - Klonos

58

C.Pascal - Sonatine

38

R.Muczynski - Sonata

24

J.Absil - Sonata

11

M.Lysight - Chronographie IX

7

J.Takacs - Two Fantastics

6

N.Senk - Impetus

4

W.P.Latham - Sisyphus 1971

2

F.Devrees - 3Pieces

1

total

151

ピット・スウェルツ「クロノス」の割合が多いですが、パスカルとムツィンスキーの選択度合いも高く、概ねバランスが取れていると言えるでしょう。前回大会でアブシルに偏った状況を考えると、かなり良い傾向だと言えると思います。スウェルツは、10分未満のコンパクトな構成の中に様々な要素が含まれており、テクニックや音楽性を披露するには最適な選曲なのかもしれません。

 

参加者の国籍:

日本

54

アメリカ合衆国

11

スロヴェニア

8

中国

7

ベルギー

7

スペイン

7

韓国

6

イタリア

6

フランス

6

ドイツ

5

ロシア

3

ポルトガル

3

カナダ

3

イギリス

3

オーストラリア

3

ポーランド

3

イスラエル

2

ウクライナ

2

クロアチア

2

ブラジル

2

デンマーク

2

ハンガリー

1

コロンビア

1

台湾

1

フィンランド

1

チリ

1

オランダ

1

合計

151

今回は、申し込みを行ったのにもかかわらず漏れてしまった方も多くいたようです。相変わらず日本からの参加者は多いですが、その内容をよく見ると、国外への留学中の学生の割合も高いことがわかります。日本以外はほぼ横並びとなりましたが、目をひくのは中国・韓国などの日本以外のアジア勢の増加。昨今の世界情勢を反映しているようで、大変興味深いデータだと思います。また、ミーハ・ロギーナ氏の出身国として有名なスロヴェニアからの参加が多いのも興味深いです。

 

 

二次予選

日程:11/9 – 11/10

セミ・ファイナリスト:

Volodymyr KUSHNAROV (ウクライナ)

Wonki LEE (韓国)

Blaz MIJOVIC (スロヴェニア)

中島諒 Ryo NAKAJIMA (日本)

Kirstin NIEDERSTRASSER (ドイツ)

Evgeny NOVIKOV (ロシア)

Stephen PAGE (アメリカ合衆国)

Pieter PELLENS (ベルギー)

Joonatan RAUTIOLA (フィンランド)

Miha ROGINA (スロヴェニア)

Alexandre SOUILLART (フランス)

Nikita ZIMIN (ロシア)

Nicolas ARSENIJEVIC (フランス)

Peter CVERLE (ベルギー)

Simon DIRICQ (ベルギー)

James FUSIK (アメリカ合衆国)

本堂誠 Makoto HONDO (日本)

Joshua Malcolm HYDE (オーストラリア)

 

本選への進出者:6

課題曲:必須曲1曲+選択曲1曲+自由曲1

必須曲:

Piet Swerts ピット・スウェルツ – Kotekan

選択曲(1曲選択)

Takashi Yoshimatsu 吉松隆 – Fuzzy Bird Sonata

William Albright ウィリアム・オルブライト – Sonata

Marilyn Shrude マリリン・シュリュード – Renewing the Myth

Lucie Robert ルーシー・ロベール – Cadenza

William Bolcom ウィリアム・ボルコム – Lilith

Karel Husa カレル・フサ – Elegie et Rondo

Phil Woods フィル・ウッズ – Sonata

Alfred Desenclos アルフレッド・デザンクロ – Prelude, Cadenza et Finale

自由曲:

無伴奏作品

 

二次予選選択曲の割合:

A.Desenclos - PCF

8

L.Robert - Cadenza

4

W.Albright - Sonata

3

T.Yoshimatsu - Fuzzy Bird

2

M.Shrude - Renewing the Myth

1

合計

18

比較的ネオ・ロマンティックの部類に属するデザンクロと、現代寄りのロベール、オルブライト、吉松、シュリュードに、二分されたと言ってしまっても良いかもしれません。オルブライトの選択者が3人というのは、個人的に注目です。

 

二次予選自由曲の割合:

K.Stockhausen - In Freundschaft

3

L.Berio - Sequenza IXb

2

J.Rueff - Sonate

2

C.Lauba - Jungle

2

F.Tanada - Mysterious Morning III

2

R.Noda - Mai

1

D.Soley - Laberinto III

1

T.Alla - Digital

1

L.Francesconi - Tracce

1

F.Rosse - Le Frene Egare

1

C.Lauba - Steady Study on the Boogie

1

J.Wildberger - Portrait

1

合計

18

全く傾向がなくバラバラになりました。前回が「セクエンツァ」ばかりだったことを考えると、かなり面白い傾向にあります。さすが自由曲の名に相応しく、各自お得意のレパートリーを用意してきたのでしょう。曲目を並べて眺めるだけでも完成度の高さが窺えます。おそらく日本では名前すらも耳にしたことのないL.FrancesconiTracce」(もとはフルートのための作品)と、D.SoleyLaberinto III」(1998年に書かれたアルトサクソフォンソロのための作品)には要注目です。

 

本選

日程:11/12 – 11/13

ファイナリストと選択曲:

NOVIKOV, Evgeny

ロシア

A.Glazounov - Concerto

RAUTIOLA, Joonatan

フィンランド

F.Martin - Ballade

ROGINA, Miha

スロヴェニア

P.M.Dubois - Concerto

SOUILLART, Alexandre

フランス

P.M.Dubois - Concerto

ZIMIN, Nikita

ロシア

A.Glazounov - Concerto

DIRICQ, Simon

ベルギー

F.Martin - Ballade

 

ファイナリストの経歴について:

http://kurisaxo.blogspot.com/2010/11/dinant-2010_11.html

 

課題曲:必須曲1曲+選択曲1

必須曲(コンクールのために書かれた委嘱作品):

André Waignein アンドレ・ウェニアン – Rhapsody for Alto Saxophone and Orchestra

選択曲(1曲選択)

Frank Martin フランク・マルタン – Ballade

Frédéric Devreese フレデリック・デヴレーズ – Ostinati

Heitor Villa Lobos エイトル・ヴィラ=ロボス – Fantasia

Pierre Max Dubois ピエール=マックス・デュボワ – Concerto

Alesandre Glazounov アレクサンドル・グラズノフ – Concerto

オーケストラ:Ivan Meylemans指揮 Het Kamerorkest

 

本選結果

1st: DIRICQ, Simon (Belgium)

2nd: ZIMIN, Nikita (Russia)

3rd: SOUILLART, Alexandre (France)

4th: RAUTIOLA, Joonatan (Finland)

5th: ROGINA, Miha (Slovenia)

6th: NOVIKOV, Evgeny (Russia)