第3回国際ジャン=マリー・ロンデックス サクソフォンコンクール2011非公式集計ページ
公式ウェブサイト等の情報から、第3回ロンデックス国際コンクールのデータ・結果を集計・分析するページです。
※本コンテンツは当サイトの管理人が個人的に集計したものであり、公式な情報ではありません。内容について、管理人は責任を負いかねます。
メールはこちら→ kuri_saxo@yahoo.co.jp
トップページ→ http://www.geocities.jp/kuri_saxo/
ブログ→ http://kurisaxo.blogspot.com/
公式ページ
http://www.music.mahidol.ac.th/jmlisc/
公式ページは、タイ・バンコクのマヒドル大学のページにホスティングされています。参加要項、スケジュール表(PDF)、ポスターデザイン、審査員紹介等を参照することが可能です。
公式情報ページ
公式情報ページは、adolphesax.comにホスティングされています。上記ページは、コンクールの実況中継、審査結果等を参照することができます。
開催期間・会場
2011年7月4日 – 2011年7月16日
タイ・バンコク Bangkok, Thailand
マヒドル大学 Mahidol University
審査員
審査委員長:
Jean Marie LONDEIX ジャン=マリー・ロンデックス(フランス)
1932年フランス生まれ。ボルドー音楽院を一等賞で卒業した後、パリ音楽院においてマルセル・ミュールに学び、審査員全員一致の一等賞を経て卒業。以来、サクソフォン奏者として、また教育者として、さらには研究者として、八面六臂の活躍ぶりを見せる。これまでに開催したコンサートは600回を超え、そのなかで250作品もの新作の献呈を受けている。エディソン・デニゾフとの共同作業により生み出された「ソナタ」は、クラシック・サクソフォンというジャンルにおいて、現代音楽の要素を取り入れた初めての作品として、現在でも重要なレパートリーである。1953年よりディジョン音楽院教授、1971年よりボルドー音楽院教授。ボルドー音楽院在任中、サクソフォンラージアンサンブルの先駆け的存在の一つである、Ensemble International de Saxophoneを、ボルドー音楽院の生徒を中心に結成。独奏録音は、Vendome、Pathe (EMI France)、SNE、Crest等からリリースされた。その他、著作・アレンジ作品等も数多い。
進行役:
William STREET ウィリアム・ストリート(カナダ)
カナダ出身のサクソフォン奏者。ロンデックスに学び、帰国後は北米を中心に活躍している。North American Saxophone Allianceのプレジデントを努め、北米におけるサクソフォン普及に尽力。最近では、インターナショナルサクソフォン四重奏団のメンバーとしても活動している。
審査員:
Arno BORNKAMP アルノ・ボーンカンプ(オランダ)
オランダを代表するサクソフォン奏者の一人。スヴェーリンク音楽院でエド・ボガードに学び、その後アムステルダム音楽院の教授に就任。独奏者としては、ピアニスト、イヴォ・ヤンセンとのコンビが有名。またアウレリア・サクソフォン四重奏団のメンバーとしても、数々のコンサートや録音をこなしている。
Lars MLEKUSCH ラーシュ・ミュレクシュ(スイス/オーストリア)
スイス生まれのサクソフォン奏者。現在はバーゼル音楽大学の教授を経て、ウィーン音楽院の教授。マルカス・ワイスに学んだ経験からか、特に現代作品の分野への興味を強く持っているようだ。最近では、Vienna Saxophonic Orchestraを結成し、ラージアンサンブルの可能性を追求している。
Daniel KIENTZY ダニエル・ケンジー(フランス)
サクソフォン史上最強の”現代作品専門奏者”と言い切ってしまって良いだろう。献呈作品は300以上、録音は80以上を数え、マルセル・ミュール、シガード・ラッシャーといった奏者をゆうに超える。無伴奏、室内楽、レイナ・ポーテュオンドとのサクソフォン+エレクトロニクスデュオ”Meta Duo”での活動等、その活動の全貌を一度に捉えきれない、そんなところに魅力を感じる。
Debra RICHTMEYER デブラ・リヒトマイヤー(アメリカ)
イリノイ大学教授。ノースウェスタン大学において、フレデリック・ヘムケに師事し、その後いくつかの賞を得ている。リヒヤルト・シュトラウスの「オーボエ協奏曲」をソプラノサクソフォンで取り上げたCD「Extravaganza(Albany)」の評価が高い。
Narong PRANGCHAROEN ナローン・プランチャルーン(タイ)
作曲家からの抜擢。タイを代表する作曲家の一人で、国内外でその作品が演奏されている。Albanyレーベルから、「チャクラ」を始めとする作品が収録された作品集が発売されている。
一次予選
日程:7/5 – 7/8
参加者:78名
二次予選への進出者:20名
演奏曲:自由曲1曲+選択曲1曲
自由曲:
バロック時代、もしくは20世紀以前に書かれた無伴奏作品をサクソフォン用に編曲したもの
選択曲:
クリスチャン・ロバ Christian Lauba 「9 Etudes」から一曲
クリスチャン・ロバ Christian Lauba 「Hard too Hard」
クリスチャン・ロバ Christian Lauba 「Hard」
クリスチャン・ロバ Christian Lauba 「XYL (Balafon2)」
クリスチャン・ロバ Christian Lauba 「Worksong」
クリストフ・アヴェル Christophe Havel 「Oxyton」
フランソワ・ロッセ Francois Rosse 「Le Frene Egare」
ティエリー・アラ Thierry Alla 「Digital」
自由曲の割合:
バッハ - 無伴奏チェロ組曲 |
23 |
C.P.E.バッハ - ソナタ |
17 |
バッハ - パルティータBWV1013 |
11 |
バッハ - 無伴奏ヴァイオリンパルティータ |
10 |
テレマン - ファンタジー |
9 |
バッハ - ソナタ第2番 |
4 |
その他 |
4 |
合計 |
78 |
自由選択、とはいえ、やはりレパートリーとしてそれなりに傾向が表れています。「無伴奏チェロ組曲」に関しては、特に第1番と第3番が高い割合で演奏されています。移調版である、ロンデックス編の演奏もあるのでしょうか?「無伴奏ヴァイオリンパルティータ」の中には、第2番のシャコンヌを演奏するプレイヤーも見受けられます。その他については、パガニーニの「カプリス」と、マラン・マレの「フォリア」が含まれています。
選択曲の割合:
ロバ - ジャングル |
19 |
ロバ - バラフォン |
15 |
ロセ - Le Frene Egare |
11 |
ロバ - タージ |
10 |
アラ - デジタル |
6 |
ロバ - ワークソング |
5 |
ロバ - XYL |
5 |
ロバ - ハード |
5 |
その他 |
2 |
合計 |
78 |
ロバの「ジャングル」と「バラフォン」は相変わらず高い人気を保っていますが、前回と比較してその割合がひっくり返りました。3年間での、参加者のレベル向上によるものでしょう。ロバ「ワークソング」や「XYL」は比較的レパートリーとして新しく、かつ高難易度の作品ですが、多くの奏者が取り上げています。大変聴き応えがある一次予選となりそうです。
参加者の国籍:
日本 |
17 |
アメリカ合衆国 |
15 |
台湾 |
7 |
タイ |
6 |
中国 |
5 |
スペイン |
5 |
オーストラリア |
4 |
カナダ |
3 |
フランス |
3 |
フィンランド |
2 |
ロシア |
2 |
スロヴェニア |
2 |
Baesilien |
1 |
オーストリア |
1 |
ベルギー |
1 |
ブラジル |
1 |
ドイツ |
1 |
ポーランド |
1 |
シンガポール |
1 |
合計 |
78 |
サクソフォンの国際コンクールというと、大抵日本人の参加者が圧倒的に多い…というイメージがありますが、今回は日本からの参加者は少なめです。おそらく管打楽器コンクールと同年の開催だからでしょう。また、アメリカからの参加者が多いことにも注目すべきでしょう。競争が激しいアメリカのサクソフォン界では、若手の中にまだまだ実力未知数の奏者が多く隠れていると思われます。タイ、台湾、中国の奏者が多いのは、さすがアジア圏の開催というだけありますね。欧州からの参加者は控えめですが、ディナンではご無沙汰だったスペイン勢、また、フランス、フィンランド、スロヴェニア出身の著名奏者に注目が集まります。
二次予選
日程:7/10 – 7/11
セミ・ファイナリスト:23名
本堂誠 (Japan) 東京芸術大学
木村有沙 (Japan) 洗足学園音楽大学
Joonathan Rautiola (Finland)
Miha Rogina (Slovenia)
Alexandre Souillart (France)
田中拓也 (Japan) 東京芸術大学
福田亨 (Japan) 東京芸術大学
Pin-Hua Chen (Taiwan)
Michael Krenn (Austria)
Joel Diegert (France)
Matt Evans (USA)
Xavier Larsson (Spain)
Sean Hulburt (USA)
Noa Even (USA)
小川卓朗 (Japan) 洗足学園音楽大学
Joshua Malcolm Hyde (Australia)
松下洋 (Japan) 洗足学園音楽大学・東京芸術大学
Zachary Pfau (USA)
Kittikhun Jungate (Thailand)
植川縁 (Japan) エリザベト音楽大学・リヨン音楽院・アムステルダム音楽院
Ningxin (Yo-yo) Su (Australia)
Philip Pierick (USA)
Zachary Shemon (USA)
本選への進出者:5名
演奏曲:選択曲2曲(リスト1とリスト2から、1曲ずつ選択)
選択曲リスト1:
マーク=アンソニー・ターネジ Mark Anthony Turnage – Two Elegies Framing a Shout
フローラン・シュミット Florent Schmitt – Legende
パウル・ヒンデミット Paul Hindemith – Sonata
シャルル・ケックラン Charles Koechlin – Etudes No.8,2,10,3
アルフレッド・デザンクロ Alfred Desenclos – Prelude, cadence et finale
エディソン・デニゾフ Edison Denisov – Sonata
アンドリー・タルパシュ Andriy Talpash – Zut!
ウィリアム・カーリンズ M.William Karlins – Music for Tenor Saxophone and Piano
アラン・マルゴーニ Alain Margoni – Sonate
選択曲リスト2:
ブルーノ・マントヴァーニ Bruno Mantovani – L’Incandescence de la bruine
フィリップ・ルルー Philippe Leroux – SPP
マニュエル・アングロ Manuel Angulo – Bisonate
野平一郎 Ichiro Nodaira – Arabesque III
マリリン・シュリュード Marylyn Shrude – Renewing the Myth
平義久 Yoshihisa Taira – Penombres VI
ドゥニ・ルヴェラン Denis Levaillant – Manhattan-Rhapsody
フランソワ・ロセ Francois Rosse – Silence for a disturbed yell
選択曲リスト1の割合:
E.Denisov - Sonata |
10 |
F.Schmitt - Legende |
5 |
A.Desenclos - PCF |
4 |
A.Talpash - Zut! |
1 |
C.Koechlin - Etudes |
1 |
P.Hidemith - Sonata |
1 |
M.A.Turnage - Two Elegies Framing a Shout |
1 |
TOTAL |
23 |
作曲から40年が経過したデニゾフ「ソナタ」ですが、未だにコンクール・ピースとしての人気が高いようです。それにしても、委嘱者であるロンデックスの眼前でこの曲の演奏を披露することができるなんて、サックス奏者冥利に尽きるのではないでしょうか。シュミット「伝説」は、比較的取り組みやすい作品と思われますが、現代作品と並べたときのコントラストという意味で、良い選択なのでしょう。ヒンデミット、ケックランはスタンダード・レパートリーですが、タルパシュ「Zut!」とターネジ「2つのエレジー」は珍しい。注目です。
選択曲リスト2の割合:
B.Mantovani - L'Incandescence de la bruine |
10 |
M.Shrude - Renewing the Myth |
5 |
P.Lereux - SPP |
4 |
I.Nodaira - Arabesque III |
3 |
D.Levaillant - Manhattan Rhapsody |
1 |
TOTAL |
23 |
現代作品に関しては、ディナンのコンクールでもおなじみの作品ばかりです。ソプラノサクソフォンで技巧を披露できるマントヴァーニが、やはり人気ですね。シュルード、ルルー、野平一郎も、どれも現代のスタンダードとして広く演奏されている作品です。ルヴェランの「マンハッタン・ラプソディ」が目を引きますが、これはテナーサクソフォンのための作品。どんな演奏になるのでしょうか。
本選
日程:7/16
ファイナリスト:5名
Michael KRENN(オーストリア)
1986年生まれ。University of Music and Performing Artsで、Ofo Vrhovnik氏に、Konservatorium Vienna UniversityでLars Mlekusch氏に師事。Konservatorium Vienna Universityでは、ジャズについても学んでいる。Mobilis Saxophonequartettのソプラノサクソフォン奏者。オーストリア国内外のいくつかのコンクールで、独奏、室内楽とも入賞経験がある。
公式ページ→ http://www.michael-krenn.com/
Joel DIEGERT(アメリカ)
1982年生まれ。Bowling Green State Universityでジョン・サンペン氏に師事し、その後渡仏。マルセイユ音楽院でジョエル・ヴェルサヴォー氏に、ヴェルサイユ音楽院でヴァンサン・ダヴィッドに師事。NASAコンクールのソロ部門の他、いくつかのコンクールで入賞。第2回ロンデックス国際コンクールでは、セミ・ファイナリスト。ピアニストのMariam Vardzelashviliとともに、Solaris Duoを結成し、サクソフォン+ピアノのレパートリー開拓を行っている。
Xavier LARSSON(スペイン)
1991年生まれ。Conservatory Superior of Balearic Islandsでヴァイオリンとサクソフォンを学び、バルセロナのConservatori Superior de Música del Liceuに在籍/卒業?スペイン国内のコンクールである、Concurso Permanente de Jóvenes Intérpretesで優勝。
Noa EVEN(アメリカ)
イスラエル生まれ、アメリカ育ち。ファイナリスト中、唯一の女性奏者。Bowling Green State Universityでジョン・サンペン氏に、イリノイ大学でデブラ・リヒトマイヤー氏に、ノースウェスタン大学でフレデリック・ヘムケ氏に師事。Phil Pierick氏とともに結成したサクソフォン・デュオ、Ogni Suonoは、数多くの世界初演を手がけ、またいくつかのコンクールで入賞している。
公式ページ→ http://noaeven.com/
Joshua Malcolm HYDE(オーストラリア)
1986年生まれ。オーストラリア生まれだが、現在フランス在住。メルボルンのVictorian College of the Artsで、バリー・コッククロフト氏に師事。その後渡仏し、ボルドー音楽院でマリー=ベルナデット・シャリエ氏に、ヴェルサイユ音楽院でヴァンサン・ダヴィッド氏に、それぞれ師事。第2回ロンデックス国際コンクール、第5回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)の、セミ・ファイナリスト。Ecole Municipale de Musique de Gradignanで教授職にある。
公式ページ→ http://www.joshuahyde.com/
演奏曲:選択曲1曲(タイ交響楽団との共演)
選択曲:
コンスタンティン・ミロー Constantin Miereaunu – Concerto
マルセル・ミハロヴィッチ Marcel Mihalovici – Chant premier, op.103
マリウス・コンスタン Marius Constant – Concertante
各演奏者の演奏予定曲:
Michael Krenn (Austria) |
M.Mihalovici - Chant premier |
Joel Diegert (France) |
C.Miereau - Concerto |
Xavier Larsson (Spain) |
M.Constant - Concertante |
Noa Even (USA) |
M.Constant - Concertante |
Joshua Malcolm Hyde (Australia) |
M.Constant - Concertante |
結果:
1位:Joshua Malcolm HYDE
2位:Michael KRENN
3位:Noa EVEN
4位:Xavier LARSSON
5位:Joel DIEGERT
特別賞:
Best Thailand Player: Kitikum Jungate
The 2 Youngest Player in 2nd Round: Ningxin Yo/Yo (Australia) & Xavier Larsson (Spain)
Best Solo Contemporary Piece: 小川卓朗
Audience Favourite Player in 2nd Round: Joshua Malcolm Hyde