ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール2008非公式集計ページ

2nd International Jean-Marie Londeix Saxophone Competition -2008-

English page is HERE.

ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールのデータを集計、分析しています。
※注意※公式な情報ではありません!当サイトの管理人が個人的に集計したものです。データの内容に、管理人は責任を負いかねます。
メールはこちら→kuri_saxo@yahoo.co.jp
メインページへ→http://www.geocities.jp/kuri_saxo/

情報ソース

ロンデックス国際コンクール2008公式ページ(英語版)
http://www.music.mahidol.ac.th/jml/

開催期間・場所

2008年1月14日 - 2008年1月26日
Mahidol University, バンコク, タイ

審査員(5名)

ジャン=マリー・ロンデックス Jean-Marie LONDEIX
宗貞啓二 Keiji MUNESADA
ジョン・サンペン John SAMPEN
ウィリアム・ストリート William STREET
ダニエル・ゴーティエ Daniel GAUTHIER

ロンデックス氏を筆頭に、著名な奏者が勢ぞろいしました。日本からも宗貞氏が参加。サンペン氏以外の3人は、ボルドーにおいてロンデックス氏への師事経験があります。

一次予選

一次予選:演奏曲

(自由曲1曲+選択曲1曲)
自由曲:
 バロック時代、もしくは20世紀以前に書かれた無伴奏作品をサクソフォーン用に編曲したもの
選択曲:
 クリスチャン・ローバ「9 Etudes」から一曲
 クリスチャン・ローバ「Hard too Hard」
 クリストフ・アヴェル「Oxyton」
 フランソワ・ロッセ「Le Frene Egare」
 ティエリー・アラ「Digital」

…全てボルドー生まれの楽曲ですね。クリスチャン・ローバの「Etudes」以外は、かなりマイナーな作品が並びました。やはり世界的にみてもレパートリーとして有名な、「Etudes」を選択する参加者が多いのではないでしょうか。

一次予選:参加者

94名(二次予選への進出者は20名)

一次予選:演奏曲の割合


…J.S.バッハの「無伴奏フルートソナタ」など、比較的頻繁に取り上げられる作品が上位に位置し、ほぼ想定内の割合となりました。最近はC.P.E.バッハの「無伴奏フルートソナタ」も人気ですね。


…ローバの「バラフォン」が最も多く取り上げられるのは予想できましたが、次いでロセの作品がランクイン。しかも、意外なことに日本人で取り上げている方が多く見受けられ、驚きました。

一次予選:参加者の国籍


…日本からの参加者に次いで、アメリカ、オーストラリア、そしてアジア圏が続きます。アジア圏は、まだまだ発展途上という感じですが、数年後、数十年後にはどうなるか想像がつきませんね。ロシアのグネーシン音楽大学から参加したプレイヤーが目を引きました。ディナンでのコレゾフ氏の劇的な優勝以来、急速に認知されるようになった感があります。フランスからの参加者は、意外と少ないです。

二次予選

二次予選:二次予選への進出者

22名(予定では20名)、うち本選への進出者は5名

Douglas O'Connor (USA)
Alexandre Doisy (France)
Olesen Klaus (Denmark)
Kazuya Kato 加藤和也(エリザベト音大)
Ryota Ogishima 荻島良太(尚美ディプロマ卒、Vive!SQ)
Stacy Wilson (USA)
Stephen Page (USA)
Takuro Ogawa 小川卓朗(洗足音大)
Joshua Hyde (Australia)
Sayaka Noguchi 野口紗矢香(尚美ディプロマ、東京音楽大学)
Chizu Okawa 大川千都(ブール・ラ・レンヌ国立音楽院)
Sean Patayanikorn (Canada)
Masahiro Tamura 田村真寛(洗足音大非常勤講師)
Zimin Nikita (Russia)
Miha Rogina (Slovenia)
Paul Tucker (USA)
Vincent Daoud (France)
Xin Gao (China)
Jun Nishimoto 西本淳(相愛大・武庫川女子大講師)
Asagi Ito 伊藤あさぎ(東京藝大大学院)
Joel Diegert (USA)
Ning-Xin Su (Australia)

二次予選への進出者は22名、うち、日本人は8名です。

二次予選:演奏曲

(以下の選択曲リストから2曲)
選択曲:
 アンドレ・カプレ「伝説」
 フローラン・シュミット「伝説 作品66」
 ポール・クレストン「ソナタ 作品19」
 シャルル・ケックラン「練習曲」より7、2、9、3
 アルフレッド・デザンクロ「前奏曲、カデンツと終曲」
 エディソン・デニゾフ「ソナタ」
 ウイリアム・カーリンズ「テナーサクソフォンのための音楽」
 マルセル・ミハロヴィッチ「シャント 第一番」
 マニュエル・アングロ「Bisonante」
 松下功「アトールII」
 野平一郎「アラベスクIII」
 フランソワ・ロッセ「動乱した叫びのための静寂 Silence for a disturbed yell」
 ブルーノ・マントヴァーニ「L'Incandescence de la bruine」
 マリリン・シュリュード「謎の再認知」
 平義久「薄明かりVI Penombres VI」
 マーク=アンソニー・ターネジ「2 Elegies Framing a Shout」
 フィリップ・ルルー「SPP」

…前半は、大変有名なサクソフォーンの「古典」が揃いました。後半は、一転してかなりハードな現代作品が名を連ねています。自由に2曲選択できるとのことで、おそらく古典と現代、両極端な曲目を選択する参加者が多いのではないでしょうか。
 アルトだけではなくソプラノ、テナー、バリトンの曲目が多いのは面白いですね。個性豊かな二次予選が期待されます。
 ウイリアム・カーリンズのテナー作品は、フレデリック・ヘムケ氏のLP「Music for Tenor Saxophone」に入っています。シュリュード「謎の再認知」は、ジョン・サンペン氏の録音でも有名な、パガニーニのカプリス第24番のテーマを基にした高難易度の変奏曲です。
 日本人作品も目立ちますが、これまた重鎮の筆による曲が揃いましたね。野平氏、平氏の作品は、ドゥラングル氏の録音「Japanese Saxophone」でも有名です。
 テナーサクソフォン作品のミハロヴィッチ「シャント第一番」は、モナコの王子様に献呈された作品だそうです。楽譜には"S.A.S. Le Prince Painier III, Monaco"の献呈辞が。どのような経緯でこの作品が成立したのか、非常に興味がありますね。

二次予選:演奏曲の割合


…デニゾフ、シュミット、デザンクロ等、王道的レパートリーを選択するプレイヤーが多かったようです。マントヴァーニの「L'Incandescence de la bruine」は、ぜひ聴いてみたかったですね。テナーサクソフォン作品のミハロヴィッチで本選に残った奏者も、いらっしゃいました。

本選

2008/1/26
タイ交響楽団 Thailand Philharmonic Orch.

本選:本選への進出者

Douglas O'Connor
Alexandre Doisy
Sean Patayanikorn
Miha Rogina
Vincent Daoud

本選への進出者は5名。日本の方は進むことができませんでした(残念…)。
ダグラス・オコナーは、イーストマン音楽院でChien-Kwan Linの下で研鑽を積む学生。MTNAのコンペティションで優勝経験があります。Dale Underwoodへの師事経験もあるそうです。
アレクサンドル・ドワジーは、日本ではおなじみの奏者ですね。CNSMDPのドゥラングル門下を卒業後、目覚しい活躍をされています。2007年にはリヨン管とともに来日しました。
ショーン・パタヤニコムは、Anubis Saxophone Quartetのプレイヤーとしても有名であり、ジョン・サンペン門下、Bowling Green State Universityのサクソフォーン科在籍?/卒業?です。
2007年末に再来日した、ミーハ・ロギーナの素晴らしい演奏を堪能した方も多いのではないでしょうか。スロヴェニア出身、ドゥラングル教授門下で、CNSMDPの第三課程に在籍?/卒業?です。
ヴァンソン・ダウトは、フランスの奏者で、ムジェやグーリーの門下。ギャップのヤングソリストコンクールや、ピカルディコンクール等での入賞経験があるそうです。現在はローザンヌ市立音楽院講師。

ということで、アメリカ勢2人、フランス勢3人で、本選を迎えることとなりました。それぞれのプレイヤーの健闘を祈りたいものです。

本選:演奏曲

オーケストラとの演奏
(選択曲1曲)
選択曲:
 アンリ・トマジ「協奏曲」
 フランク・マルタン「バラード」
 ピエール=マックス・デュボワ「協奏曲」
 マリウス・コンスタン「コンチェルタンテ」
 マルセル・ミハロヴィッチ「シャント 第一番」
 レスリー・バセット「協奏曲」
 ベッツィー・ヨラス「Points d'or」
 エサ=ペッカ・サロネン「『最初の一目で(Auf den ersten Blick)』協奏曲」
 フランコ・ドナトーニ「ホット」
 クイガン・チェン「Feu d'ombres」

 レパートリー的にも、まさに「王道」とも思えて、実は若干斜めに構えたトマジ、マルタン、デュボワ、コンスタンですが、まあほとんどの参加者はこの4曲のなかから選んでしまうのでしょう。
 個人的には、フィルハーモニア管弦楽団の指揮者としても有名なサロネンの作品、そしてドナトーニの「ホット」あたりを選択する参加者がいると、面白いかなと思います。特に「ホット」なんて、サックスよりもむしろオーケストラ(pf, bass, perc, cl, tp, tb)の力量が試されますよ。タイ交響楽団は一体どんな演奏を繰り広げるのでしょうか。
 一つ気になったのは、二次予選と全く同じ曲(ミハロヴィッチの作品)が含まれていること。同じ曲をそのまま吹いても良い、ということなのでしょうかねえ。

本選:演奏曲目と特例

Douglas O'Connor…アンリ・トマジ「協奏曲」
Alexandre Doisy…ベッツィー・ヨラス「Points d'or」
Sean Patayanikorn…アンリ・トマジ「協奏曲」
Miha Rogina…アンリ・トマジ「協奏曲」
Vincent Daoud…マルセル・ミハロヴィッチ「シャント 第一番」(ピアノとの演奏)

ミハロヴィッチ「シャント 第一番」は、オーケストラ・パートが難しすぎて演奏できず、審査員と本選出場者の協議の結果、ピアノとの演奏になったそうです。また、ドワジー氏が選択曲をヨラスからトマジに変更したかったが、規定上不可能であったとのこと。

本選:結果

第1位:Alexandre Doisy
第2位:Douglas O'Connor
第3位:Miha Rogina
第4位:Sean Patayanikorn
第5位:Vincent Daoud